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地理的表示(GI)の保護に関する法案が提出されました

先週末(4月25日)に農林水産省より「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律案」が国会に提出されました(参議院のサイトでは衆先議となっています)。

この法律はいわゆる地理的表示(GI: Geographical Indication)を地域の知的財産として登録する制度を創設することにより、生産者利益と需要者利益を保護することを目指しています(概要)。

地理的表示(GI)というのは、

  1. ある商品が、特定の場所、地域または国を生産地とするもので、
  2. その品質や社会的評価といった特性が主にその生産地に関連している場合に、
  3. その商品に付されるその生産地を特定する表示

のことです。例えば、「カマンベール・ドゥ・ノルマンディー」というフランスのチーズは、

「どっしりとしたなめらかな円柱形、表面は薄く白カビで覆われており、軽い塩味とフルーティな食味、独特の芳香」といった特性と、

「ノルマンディー地方で飼育されたノルマンディー種の生乳を50%以上使ったチーズで、19世紀以来の伝統的な製法で作られたもの」という地域との結びつき、

を有しており、これを満たさないチーズは「カマンベール・ドゥ・ノルマンディー」という名称をつけることができません。

同じように「プロシュート・ディ・パルマ」というイタリアの生ハムは、

「パルマ地方の豚もも肉と塩のみを原料とした生ハムで、色はピンク色〜赤色、繊細でまろやかな甘味と軽い塩味、独特の香り」という特性と、

「パルマの丘陵付近で生産された生ハムのみが王冠型の焼き印を受けられる。アペニン山脈から丘陵に吹くそよ風が空気を乾燥させ、伝統的な製法で生ハムの製造を可能にしてきた」とうい地域との結びつき、

を有しています。

このような生産地と品質(特性)に不可分の結びつきがある農林水産物について、その名称(=地理的表示)を国に登録することにより、その名称を保護するとともに、国が一定の特性を保証し、フリーライドや模倣品を排除することが地理的表示保護制度の目的です。

同じような制度には、商標法に基づく地域団体商標(いわゆる「地域ブランド」)がありますが、今回の地理的表示保護制度は、対象となる農林水産物の特性(=品質)を国が保証するというところが大きな違いになっています。

つまり、不正な表示がなされた場合には、国が直接取り締まる(措置命令)こととなっていて、これに従わないと刑事罰という仕組みです。生産者団体は生産工程管理業務を行いますが、不正を発見した場合には一般の人と同じように国に通報して取り締まってもらうことになります。

また、地域団体商標は実質的に農業協同組合等のみが登録を受けることができる制度となっていましたが、今回の地理的表示の保護は生産者団体であれば法人格のない地域のブランド協議会等でも登録を受けることができることになっています。登録を受けた生産者団体に権利が帰属する仕組みではないからです。

登録の実務については、省令に委任されている部分もあるため詳細はまだ分かりませんが、地理的表示(=農林水産物の名称)が既存の登録商標と同一または類似の場合には登録拒否とされているため、我田引水的には弁理士の出番もありそうです。

今後の国会審議を注目していきます。


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