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IPXIで取引されるULRとは [valuation]

国際知的財産取引所(IPXI: The Intellectual Property Exchange International, Inc.)では、特許権そのものではなくULR (Unit License Right)契約といわれるライセンス権契約が取引される予定になっています。

通常のライセンス契約では、契約→生産・販売→ロイヤルティ支払というように、契約した後に売上高や生産個数に応じてロイヤルティ支払金額が決まってくる(ポストペイド)のに対して、ULR契約では最初に必要な分(例えば1万個分)のライセンスを(IPXIにおける売買という形で)購入する(プリペイド)ことになります。購入したライセンスは使いきりとなります。また、未使用分はIPXIのセカンダリーマーケットにおいて売却することが可能になる予定です。

サンプルでは、ある特許について全部で5千万個のライセンス枠が用意され、この枠がA、B,Cの3つのトランシェに分けられています。最初の1千万個までがトランシェAで価格は1個あたり0.5ドル、次の1千万個がトランシェBで0.75ドル、残りの3千万個がトランシェCで価格は1個あたり1.0ドルとなっています。つまり、同じライセンスでも需要が大きい場合にはその価格が上がる仕組みになっています。

セカンダリーマーケットの例では、上記のライセンス枠について、トランシェAが全て売れて、トランシェBについては1千万個のうち250万個が市場に出ている状況が想定されています。1個あたり0.5ドルでは売り切れたものの、0.75ドルでは売れ残りが出たという状況です。このため、トランシェAについては、セカンダリーマーケットで買い0.625ドル、売り0.630ドルの注文がそれぞれあるという想定になっています。トランシェAを0.5ドルで購入した人は、ライセンスを使って対象特許を実施することのほかに、ライセンスを使用せずに市場で売却して利益を確定させることも可能となります。

ULR契約の内容は標準化されているため、当事者間におけるライセンス交渉というのはなく、あらかじめ設定された条件でライセンスを受けるか(ULR契約を買うか)どうかという判断になります。

気になるのは、果たしてIPXIで取引される特許案件が出てくるかどうかなのですが、創立会員(企業)6社、創立会員(大学)5大学および創立会員(研究所)3機関は、それぞれ会員になってから12ヶ月以内に取引対象となる特許を持ち込むことになっていますので、取引所を作ったけれども上場銘柄がないという某AIMのようなことにはならないようです。

特許権を市場に出す側(Sponcer)としては、誰にその技術を使われるか分からないといった不安は避けられないと思いますが、相対では経済的に見合わない多数の相手方からロイヤルティを受け取れるというのは、知的財産の収益化という観点からは魅力的です。

実施権の買い手としては、面倒な交渉なしでライセンスがリーズナブルな価格で調達できる、必要な分だけ買うことができるといったメリットがあります。中小企業でも大企業でも同じ条件が適用されます。更には、未使用分は売却することも可能となる予定です。

ただし、今のところ、マーケットの参加者はIPXIのメンバーに限られているので、セカンダリーマーケットを成立させるためにはもっと幅広い多数の投資家をメンバーに迎え入れる必要がありそうです。

(IPXIおよびULRは登録商標です。)


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コメント 3

平沼

興味深く、記事を読ませていただきました。非常に分かりやすく勉強になります。IPXIのサイトも原典としてリンクされておられるので肝心の料率決定プロセスについて探してみたのですが、ちょっと見つかりませんでした。見落としかもしれませんが、もしおわかりでしたら記事にしていただけるととても助かります! もし、既にされているようでしたらお許しください。
by 平沼 (2012-07-24 03:22) 

皓

平沼様、コメントありがとうございます。
料率決定プロセスにつきましては、IPXIはあくまでも取引所として機能するため、IPXI自身が料率を決定するものではありません。これは、上場株式の株価を証券取引所が決めていないのと同じで、ULRについても取引所の参加者が売りたい値段と買いたい値段を提示して、それが一致したところで取引が成立するという、一般的な市場価格メカニズムによってULRの価格、すなわち料率が決まってくることになります。
IPXIは、ULRについて標準的なライセンス条件をあらかじめ公開することにより、市場参加者に対して価格決定のために必要な情報を提供しています。
このためにも、十分な数の市場参加者の確保が必要になってくると思います。
by (2012-07-24 06:54) 

平沼です。

松本様 コメントありがとうございます。なるほど、市場取引価格ですね。参加者も少なく、情報格差も大きな不完全市場かつ、外国の権利も含まれるなどキャッシュフローの予測ベースの市場環境の金利や物価上昇率なども変化も大きいだろうとか、無効化されるリスクもあるなど、いろいろ考えると思考停止しましたが、ただの取引所と考えることにしました。メンバーが増え、市場として成立するかどうか展開が楽しみですね。取引市場が普及すれば専門家による価値算定ニーズも増え、松本さんのように知的財産評価業というものにスポットが当たり、知的財産評価を専門に行う特許事務所をご経営されている松本さんはその草分け、ということになりましょう。
今度どこかでお会いしてお話を伺いたいと思いますが、
どうでしょう?
(アイデアキャスト合同会社 代表 平沼)
by 平沼です。 (2012-07-24 13:22) 

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